|
「木野の山歩き」は、山が大好きな方、これから山歩きを始めようとする方に、
山を楽しみ、安全に登るコツなどをお伝えする講座です。
□ 講座の基本
・みんなで一緒に、楽しく歩こう
□ 装 備
・着衣のポイントは重ね着
・持ち物の軽量化を図る
・雨対策と防水の徹底
□ 楽で安全な歩き方は
・急がず、登りも下りも小股で
・靴底全体で接地する
・蹴らないで、抑えるように着地
・ストックの活用
・ときどき立ち止まって景色を楽しむと疲れを忘れる
□ 山歩きの楽しみ
・計画段階 :地図やガイドブックで事前知識を仕入れる
・装備揃え :機能性を第一に、防水、軽量、お気に入りの品
・食べ物、飲み物 :弁当、行動食や嗜好品、水ではなくお茶類を
・当 日 :楽しく歩く、景色を楽しむ、動植物の観察
・記 録 :コースタイム、写真。特に撮影やスケッチの時間はとれませんが
□ 山歩きを発展させて
・小屋泊まり
・自炊を楽しむ
・テント生活
□ 山の楽しみ方はいろいろ
・鑑 賞 :景色、花や木、鳥や動物
・本を読む :紀行、写真集、小説(特に新田次郎の)
・写真やビデオ :撮影、鑑賞
・写 生 :景色、花や動物
□ 山の環境保全
・山をいつまでも自然のままに
□ わたしのホームページ
・お手すきの時にご覧ください。 わたしの山歩き 野山で出会った花たち ご町内の山歩き
|
|
|
|
U 服装と持ち物について
2008.04.01 改
|
|
山を安全に、楽しく歩けるように、次のようなことをチェックしてください。
今、持っている用具、服装で歩き始めればいいのですが、高価でなくても良い山道具を持つと、使いたくなる
=歩きたくなるし、体力不足を助けてくれます。特に、靴、下着、雨具には気を遣い、少しずつ集めましょう。次
のようなことを購入時の参考にしてください。
◆服 装
着る物 : 下着は汗がすぐ乾く「ダクロン」など新素材のものを、上着は風を通しにくいもの。
ジーパンは濡れると硬くなって歩きにくいので適しません。普通のフリースは、暖かいが風を通すので中間
着に。ポイントは、持っているものすべてを重ね着できるように組み合わせることです。着替えは緊急用です。
汗をかいたから着替える、ではいくら持って行っても足りません。速乾性の衣料はいわゆる“着干し ”が可能で
す。
雨 具 : 講座は原則として雨でも出掛けます。雨衣は、少し高価ですがゴアテックスなど防水透湿性素材の
ものは防風衣としても使えます。上下1組あると心強いもので、朝は晴れていても山の天気は気まぐれ、年中
必携です。山に入るまでのいわゆるアプローチでは折りたたみ傘も便利です。
帽 子 : 帽子はツバのあるもの、特に盛夏は首の後ろを隠す工夫をしてください。
◆ザック : リュックサックは大きさが30〜35リットルくらいのものなら小屋泊まりにも使えます。横幅が肩幅くら
いの背負い易いものを、購入時には背負ってみましょう。雨用のザックカバーも必要です。
◆ 靴 : 登山靴は足入れがよく、くるぶしが隠れて、「ゴアテックス」などを張った防水性の良いものを。買うと
きは店で20〜30分くらい履いてみるくらい念入りに。大きな山用品店には登降が試行出来る“坂”が用意されて
います。
◆小物類 : 保温ポット:生水は渇きに対する効果が薄いので、夏でも暖かい麦茶やコーヒー、紅茶などを持
ち、計画的に飲みましょう。カップ、軍手、ヘッドランプ、タオル、チリ紙、地図やガイドブック、ゴミ用ポリ袋、敷
物など。
◆あると安心 : ストック:ダブルで使うと効果的です。ズボンの裾と靴にかぶせるスパッツ、秋冬は防寒衣、冬
は雪がなくても道が凍るので軽アイゼンがあると安心です。
地図やガイドブックは事前によく読んで“お勉強”しておくと楽しい山旅ができますし安心です。秋冬は日が短
いのでヘッドランプは必携です。ストックは下りで膝への負担を3割軽減するといいます。
◆食 料 : 昼食、嗜好品、非常食など
日帰りならば、栄養よりもカロリーの高いものを。主食は、すぐエネルギーになる米飯が一番です。疲れると
食欲がなくなるので、嗜好品をポケットに入れておきましょう。非常食は持ち帰るのが無事の証し。
◆その他
◇キーワードは“防水と軽量化”:持ち物は防水の良いものを、携行品は防水袋に入れて濡らさないように。体
力温存のため小物類を含めて軽量化を図りましょう。
◇省資源:紙コップなど使い捨て用品は使わないようにしましょう。
◇ザックのパッキング(詰め方):上下では上に、前後では背中側に重いものを入れます。常に取り出す物を上
にするのはもちろんですが。サイドのストラップを締めてザックを“薄く”しましょう。
|
|
|
|
|
山は私たちにたくさんの恵みを与えてくれます。
その見返りとして私たちも山に対して優しく接しなければならないでしょう。子孫のためにも自然が自然として
いつまでも残るように、「山に登らせてもらっている」くらいの謙虚な気持ちで歩きたいものです。
そこで、いつも次のようなことを心掛けましょう。
◆歩くとき
@地元では、登山者の安全と歩きやすさのために、登山道に階段や木道、クサリやハシゴなどを設けてくれ
ています。しかし、この階段や木道は、登山道以外を歩いて草や木の根を踏まないで欲しいという願いもあるの
です。また、土止めにもなっています。
少々歩きにくくても、できるだけ既設の道をたどることにしましょう。
Aバランスを取ることと、体力不足を補うことなどのためストックを使うことをお勧めしますが、ストックの先で
草や木の根を傷めないように心掛けましょう。出来れば、ゴムのプロテクターを付けたまま使うのが好ましいの
ですが、多くの場合は外した方が使いやすいものです。そこで、出来るだけ登山道内に突くようにしましょう。
◆ゴミと排泄物
@ゴミを持ち帰ることが定着し、だいぶ山もきれいになりました。これからは、落ちているゴミを拾うくらいの心
掛けでいたいものです。食料の余り物などは生ものだから捨ててもいいと思いがちですが、それは間違いで
す。塩分は植物に悪影響を与えますし、従来そこになかった食物を動物が食べればこれも悪影響を与えます。
休憩したときは「着いたときよりきれいに」を合い言葉にして出発しましょう。
A日本の多くの沢の水が、そのままでは飲めなくなってしまいました。開発により住みかのなくなってきた動物
が、人家近くのゴミなどをあさり、大腸菌などを山に持っていってしまったためもあるのですが、多くはわたし達
登山者の排泄物のためなのです。
携帯トイレによる「排泄物の持ち帰り運動」も一部の山で始まっています。
◇できるだけトイレを探して用を足す ◇やむを得ないときは沢から出来るだけ離れたところを探す ◇落とし紙
は水に溶けないテッシュではなくトイレットペーパーを持参する ◇出来れば落とし紙は持ち帰る。せめて石の下
などに埋める、などです。
◆動物への接し方
前項のように、動物が人間の食べるうまいものを食べつけるとそれに慣れて、自分で食料を探さなくなってし
まいます。シカなどが現れると「可愛いい」といって、お菓子などを与える姿を見かけますが、「あなたは冬も餌を
持ってきてあげるか」といいたいです。
日光のサルの例もありますが、丹沢の塔ノ岳頂上でおむすびを食べようとした人が、後から近寄ったシカに
見事に取られてしまいました。これも、心ない人が食べ物を与えたツケなのです。動物は、人が食べ物をくれる
ものと思ってしまい、あげないと乱暴をするようになります。動物は自然に生きるのが幸せなのです。
|
|
|
|
|
「木野の山歩き」の標準的な装備表です。 |
チェック
|
区 分
|
品 名
|
内 容
|
|
身につける |
下着 |
山用の速乾性素材のものが快適 |
|
|
シャツ |
夏でも長袖が望ましい |
|
|
ズボン |
長ズボン、撥水性のよいものが快適。ジーパンは不可 |
|
|
靴下 |
最近の靴は中厚のもの1枚でよい |
|
|
登山靴 |
防水性のよいものを。5〜6年履いたら靴底の剥離に注意 |
|
|
ザック |
少しゆとりのある大きさを |
|
|
帽子 |
夏は首の後が隠れるように、冬は耳を隠す工夫を |
|
|
バンダナ |
いろいろ使えます |
|
|
時計 |
防水性のよいものを |
|
|
現金 |
「Suica」カードも便利 |
|
ザックの中 |
弁当 |
すぐカロリーになるご飯がおすすめ、おむすびが食べやすい |
|
|
飲み物 |
夏でも暖かい麦茶などを、冷たい飲み物は内蔵機能を低下させる。
重いので総量は1gぐらいで間に合わせるため、ペットボトルなどか
ら直接ごくごく飲むのではなくコップに注いで少しづつ飲むと満足感
がある
|
|
|
雨具 |
ゴアテックスなど透湿性防水素材が使われ、上下セパレーツのもの
は防寒、防風衣としても使える。山麓では折り畳み傘も。ザックカバ
ー必携です
|
|
|
行動食 |
チョコレート、飴、乾燥果物などをポケットに |
|
|
非常食 |
チーズ、カロリーメイト(製品名)などの栄養菓子、乾パンなど |
|
|
カップ |
お茶や昼ご飯の味噌汁用などに軽量のものを |
|
|
替え下着 |
本来は緊急用。温泉で着替えるのは二次利用です |
|
|
地図 |
昭文社か山と渓谷社の登山地図が便利。事前にコースの下調べを
しておく
|
|
|
ポリ袋 |
2〜3枚、ゴミや濡れ物を入れる |
|
|
タオル |
防水袋に入れて |
|
|
ちり紙 |
溶けにくいテッシュでなくトイレットペーパーを畳んで持参 |
|
|
ヘッドランプ |
LEDのものは軽くて明るく、電池が長持ちする |
|
|
敷物 |
銀マットを1m四方ぐらいに切ると冬も使える。緊急時に反射板にも
なる
|
|
あると便利 |
ストック |
ダブルで使うことをお勧め |
|
|
スパッツ |
雨や雪のときに。雨のときはレインパンツの下につける |
|
秋と冬は |
防寒用の下着 |
長袖シャツとタイツ、薄手で速乾性素材が快適 |
|
|
保温着 |
薄いフリースなどを中間着として持参。厚いダウンは不向き |
|
|
手袋 |
防水されたものを |
|
|
軽アイゼン |
四つ爪のものを持つと安心 |
*着るものはすべてを重ね着できるように準備してください。
*ザックの中身はそれぞれ防水袋に入れて整理します。
*装備は軽量化を図り、余計なものは持たないように工夫してください。
|
|
|
|
|
|
山では普段使わないような言葉が出てきます。一通り覚えておきましょう。
アイゼン : 鋼などで作られた登山靴に付けるスパイク、かなかんじき。4〜12本の爪がある。
頭(アタマ) : 山頂または尾根上の突起の呼び名。
アプローチ : 交通機関から登山口まで。
鞍部(アンブ)、乗越(ノッコシ)、コル、タワ : 山と山の間の低くなっているところ。
お釜(オカマ) : 滝壺の深み。
尾根(オネ)、稜線(リョウセン) : 尾根は山地の浸食が進み谷と谷を隔てる部分。このうち山の最高点を結んだもの
が稜線で分水嶺となる。
ガス : 山言葉で濃霧のこと、下から見れば雲。
カヤト : カヤ類の生えた広場。
からむ、捲く : 尾根をはずれて進むこと。岩場の場合は「へずる」という。
ガレ : 山腹の崩壊したところ。
汽水域(キスイイキ) : 山から流れてきた栄養のある淡水と海の塩水が混ざるところ。プランクトンが多いので豊漁
となる。
ケルン : 道しるべに石を積み上げたもの。登頂記念などでやたらに積まないこと。
ゴアテックス : 透湿性防水素材の商品名。
高山病(コウザンビョウ) : 短時間で高所に移動すると頭痛、吐き気、眠気を催し、ひどくなると失神する。速度を落
とし順化するか下山すると治る。
コッフェル : 組み合わせられる鍋、ヤカンなどの炊事用具。
ゴウロ : 河原などで大小の岩石が地面を覆っているところ。
左岸(サガン)、右岸(ウガン) : 混同しないように、川や沢を上流から見ての左右の岸。
三角点(サンカクテン) : 地図作成のため地表に埋められた基準点。一〜四等まであり総数は約10万8千。国の財
産なので腰掛けたり足などかけない。
山行(サンコウ) : 山に行くこと。登山と同意語だが、もっと広い意味を持つ。
三点支持(サンテンシジ) : 岩場などでは四肢のうち動かすのは一点だけ。三点確保とも。
自然公園法(シゼンコウエンホウ) : 国は国立公園や国定公園区域を指定している。とくに重要地域の特別地域と特
別保護地区では、木竹の伐採、土石の採掘と移動、高山植物の採取、建造物の設置などが規制されている。
「一木(イチモク)、一草(イッソウ)、一石(イッセキ)を大切に」。
縦走(ジュウソウ) : 尾根沿いに山頂をたどりながら登山すること。
森林限界(シンリンゲンカイ) : 標高2500m位で樹林が丈の低い灌木帯に変わる辺り。
ストック : 山スキー用のものが登山用に転用されている杖。
スパッツ : 膝下から足首までを覆う用具で靴に石や雨、雪の進入を防ぐ。
スリップ : 滑ること。山で滑ると転びケガのもと。
雪渓(セッケイ) : 夏でも沢を埋める残雪。
遡行(ソコウ) : 川をさかのぼること。
棚(タナ) : 谷が段状になったところ。丹沢では滝のことをいう。
ツェルトザック : 1、2人用の簡易テント。
テルモス : 保温ポット。サーモス社の商品名から。
天然記念物(テンネンキネンブツ) : 動植物や地質鉱物などで学術上貴重なものを国が指定したものと、法的指定を
受けた地域。国宝などと同じ文化財とされた。特に重要なものは特別史跡、特別名勝、特別天然記念物として
保護している。
峠(トウゲ) : 山道が尾根を乗り越している所。
徒渉(トショウ) : 流れをわたること。
トラバース : 急斜面などを横切る、へずる(からむ)こと。
トランシーバ : 携帯用無線送受話機。
トレイル : 足跡、踏みつけた道。転じて人や獣が通行できるように踏んだ山道。
日射病(ニッシャビョウ)、熱射病(ネッシャビョウ) : 頭や頸部に直射日光が当たると、頭痛、めまいなどが起こる。日陰
に移動し水と塩分を摂る。
踏み跡(フミアト) : 人工の道でなく、漁師や登山の往来で出来た不明瞭な道。
ビバーク : 予定外に露営すること。
ビブラム : 多くの山靴に張ってある合成ゴム底、イタリーのビブラム社の製品名。
ピーク : 山の頂上、最高点。
ボッカ(歩荷)、強力(ゴウリキ) : 山で荷物を背負って運ぶ人。富士山など信仰の山では強力と呼ぶ。
落石(ラクセキ) : 崖などで石が落ちること。不注意で落とさないように。落石があったら「ラクセキッ〜」、または「ラ
ック!」と叫んで知らせる。
林道(リンドウ) : 伐採した材木や植林、砂防工事機材を運搬する作業道。
ルート : アプローチを含めた目標までの行程
|
|
|
|
Y 山歩きを楽しく安全に@ 2012.03.
05 改
|
|
毎月の「ご案内」に書いたヒント、マナーなどをまとめました。
◇初 心 に 春の講座が始まりましたが、楽しく安全な山行のために、歩き方や装備点検など初心に返ってく
ださい。何事も慣れた頃に事故が起きますので注意しましょう。
◇準 備 山行前に地図やガイドブックで登る山がどこにあるのか、周囲の山の名は、コースの高低 差はど
のくらいか、などを調べて出掛けましょう。山との付き合いを深めるには、1人でも歩けるぐらいな準備を心がけ
ましょう。
◇装備購入 装備を購入するときは専門店で。店員に使い方をよく聞き、帰ってから練習してください。靴は街
で履き慣らしてください。足に当たる場合は店で調整をしてくれます。装備は一度に買わず、他の人のものをみ
たり聞いたりして少しずつ揃えます。一度に買うと失敗します。
◇装 備 雨具、緊急用替え下着とヘッドランプは毎回持参してください。山では予想できないことも起こりま
す。コースや朝の天候で装備を変えないようにお願いします。
◇トレーニング 2週間に1度歩いていると、特にトレーニングをしなくてもいいそうです。講座のほかに、お近く
の丘陵などをぜひ歩いてください。
◇体調万全 月1回の山行を体調不良で休むのは、もったいないです。それに貸切バスを使う場合などは他
の会員に負担をかけます。風邪などひかず体調万全でご参加ください。
不調を訴える人の多くは、前夜の睡眠不足が原因のように見受けます。楽しく山歩きができるように、前日は
ゆっくり入浴してぐっすり休みましょう。
◇車内マナー 電車やバスの中では、ザックは肩から外して床に置くか網棚へ。ストックにはプロテクタを付け
て、ザックに付けるときはハンドルを上に、飛び出るようなら手に持って他の乗客に迷惑を掛けないように。
◇歩きの基本 足を左右に少し開き、小股で、急がず、ベタ足で、地面を蹴らずに押さえつけるように。急坂は
登り下りともつま先を逆ハの字に開くと抵抗が大きくなり滑りにくくなります。
◇ストック ストックは、なるべく体の脇に突くようにしますが、その道の状態により突く場所を変えます。登りの
時は上方に突いてぶら下がるよりも下に突いて体を持ち上げる方が楽な場合があります。平坦なところでは後
へ突くと推進力になります。
◇行 動 食 雨のときや、非常に寒いときなどはゆっくり休むいうわけにはいきません。いつも、アメ、チョコレ
ート、チーズなど疲れているときでも食べられる好物をポケットに入れておき、歩きながらでも食べましょう。これ
が行動食です。
◇すれ違い 山でも原則的には右側を歩きますが、狭い登山道ですれ違いで待つ場合は山側を背にして自分
の安全を確保して立ち前を通します。通してもらうときは私語をやめ、通り過ぎるときにあいさつするか会釈をし
ましょう。
◇体力配分 山歩きは「登り体力、下り技術」と言います。体力の配分は、「登り3分の1、下り3分の1、家へ3分
の1を持ち帰る」のが望ましいのです。
◇休 憩 休憩時には、まず飲み物や食べ物の補給、衣服の調節、用を足す、靴ひもの点検、景色を楽し
む、写真を撮る、記録をつける、地図で現在地を確かめる、などをすましてから休みましょう。休むときに足を
伸ばしきらないように、歩き始めが辛くなります。
◇秋口には 涼しくて歩きやすくなりますが、すぐ寒くなりますので防寒対策をお忘れなく。温かい飲み物、手
袋、陽が短くなるのでヘッドランプも必携です。
◇寒 さ 寒さは慣れである程度は耐えられるようになります。急には無理ですが、徐々に慣らしてみません
か。来年は、少し薄着が出来るかもしれません。
◇凍る道 寒くなってくると、登山道が凍っていることがあります。小股で、靴底全体を使って歩き、滑らないよ
うにしましょう。軽アイゼンがあると安心です。
◇装備一覧 装備一覧表を見て、必要なものは持ち、いらないものを持たないで。日帰りならザックの重さは6
キロぐらいに収まるよう工夫をしましょう。
|
|
|
|
Y 山歩きを楽しく安全にA
2008.09.01 改
|
|
山歩きのヒント、マナーの続きです。
◇事前のお勉強 地図、ガイドブックをよく見てきてください。登る山はどこか、付近にどんな山があるか、コー
スの高低差なども調べてください。山を安全で、より楽しむために。
◇準備体操 登り始める前に各自で準備体操をしてください。寒い時期は、体が硬くなっているので特に下半
身の屈伸、伸脚、アキレス腱伸ばし、足首回しなどを念入りに。
◇山歩きの効用 市街地にいるより森林の方がストレスが少なく、抗ガン能力が高まるそうです。森林に2日
間行くだけでこの免疫力がキノコやガーリックなどより高まるといいます。
◇道具の効用 山では道具が身を助けることがあります。登山専門店で時間をかけて購入してください。使い
方をよく聞いて、家で練習しましょう。
◇ザックの背負い方 @ザック横のストラップを締め荷を薄くする、A背負ったら腰のベルト、B背負いベル
ト、C胸のベルト、の順に締めます。これで体になじむはずです。
◇歩き方 山を少しでも楽に歩くには @肩幅ほどに足を開く、A出来るだけ小股で、ゆっく り、Bベタ足で押
さえつけるように、C急坂は登り下りともつま先を逆ハの字に開く。つま先から着地すると足がつる原因になり
ます。
◇呼吸の仕方 普段の呼吸は“吸って、吐いて”ですが、山歩きでは“吐いて、吸って”にします。息が上がった
ら、特に大きく吐いてみてください。吐けば自然に吸うことになりますから。
◇おしゃべりはほどほどに 山歩きの楽しみ方は人それぞれです。鳥の声を聞き、風の音を楽しむ人、頭を
空っぽにしたい人も。それぞれの方が楽しめるように歩きたいものです。それに、歩きながら話すと疲れます。
◇空腹を我慢しない お腹が空いてバテることを“シャリバテ”といいます。“正午=昼食”とは限りません。歩
きながらでも食べられるもの、嗜好品をポケットに入れておきましょう。
◇コースを外れない 私は安全を確認して歩いています。私が右へ向かったときに、歩きやすそうだからと左
へ進む時は、後の人全員がそちらに行ってしまうことを考えてからにしてください。
◇ストックの使い方 基本は体の脇に突きます。岩場、クサリ場、ハシゴなどではストックを持ち替えるかザッ
クに付けるかして手でしっかりつかまりましょう。振り回さないで。
◇注意は後ろへ伝達を 歩きながら「右側に気を付けて」とか「頭上注意」などと確認をします。これを後の人
に伝えてください。どうも途中で止まってしまい最後の人まで伝わらないようです。
◇下りに気をつける 登りは心拍数が増えて苦しいですが、実は下りのほうが筋肉への負担が大きく、これが
筋肉痛となります。また下りは疲れも重なり転倒事故が起こりやすいです。
◇緊張の持続 山歩きに慣れてくると慢心で事故につながります。また、事故が多くなるのは疲れてくる下りで
すから、下山するまで緊張感を保ち続けてください。初心に返って。
◇汗で冷える 冬でも歩くと汗をかき、その後冷えると風邪をひきます。速乾性の下着を付け、歩くときは薄着
に。休むときに羽織るものをすぐ出せるようにしておきましょう。
◇寒さ対策を 講座では初めから雪のある山を計画することはありませんが、歩き始めは雨でも稜線に出ると
雪になることがあります。寒さ対策に着るもの、装備を点検してから出掛けてください。
◇帰ったら 濡れた靴は水洗い、軟らかいブラシなど泥を落とし陰干し。カッパやスパッツ類も水洗い、ゴア製
品はもまずにスポンジなどで汚れを落とし、石油製品は紫外線に弱いので陰干し。ストックはばらして立てて干
します。いずれもポリ袋などに入れず風通しの良いところで保管を。
体のお手入れも大事です。その日のうちに、太ももの前とふくらはぎをお風呂で30分ぐらいもんでください。手
を抜くと翌日から筋肉痛で階段の下りなどで苦労します。帰りの立ち寄り温泉が効果的です。
◇日頃から 山に親しむように心がけましょう。先ずは体力作り、装備の点検をする、写真など記録の整理を
する、次に登る山の地図や花の図鑑を見る、紀行文や山岳小説を読むなどです。
|
|
|
|
|
三角点はお国の財産です。
地図を作る測量のため地表に埋められているのが三角点で、重要度によって1等から4等まであります。地
図を作るため、このほかの基準点として水準点、電子水準点があります。石造りの三角点は、大切な国の財産
ですから足をかけたり腰掛けたりしないで大切にしましょう。
□測量の始まり
明治15年頃、それまでの伊能図(1816年完成)にかわる全国地図を作るため内務省により測量が開始されま
した。最初に旧麻布天文台に原点を決定、そこから鹿野山の角度を測って原方位角としました。次いで相模原
の座間と下溝の間に5,210mの基線を定め、その両端から「鳶尾山」(標高235m・本厚木)と「長津田村」の高尾
山(同100mの角度を測ってその距離を計算しました。その後、浅間山(181m・湘南平近く)、連光寺(162m・多摩
市)の距離を計算し、丹沢山、鹿野山へと結んでいきました。
誤差を少なくするため、全国14か所に基線を設けて測量を始めました。基本となる一等三角点本点は約45k
mごと、同補点は25km、これらを含めて約8〜10kmごとに二等、以上を含めて約3〜4kmごとに三等、以上を
含めて約1.5〜2kmごとに四等を設けました。
このように三角測量を行ったので三角点と言いますが、航空測量やGPSなどの測量技術が進歩し、従来の
三角測量は現在ほとんど行われていませんが三角点は現役です。
三角点の点名、場所、測量日、測量者などを記録したものを「点の記」といいます。
標高は、東京湾(現在は油壺)の平均水位を0とし国会議事堂前に水準原点(標高24.414m)があります。
□三角点の数と形
基準点数は、三角点の一等は977、二等は5,056、三等は32,075、四等は71,213で合計109,321。水準点は17,
763、電子水準点が2,072で合計129,156(2015.04.01現在)です。ちなみに一等三角点は東京都に11、神奈川県
8、千葉県26などです。
一等三角点の標石は、高さ82cm、重さ90kgの石で、地上に出ている部分の一辺は18cmです。厚さ12cm、
41cm四方の盤石の上に立てられています。二、三等の一辺は15cm、四等は12cmです。石の表面にある十
字の真ん中がその三角点の位置で、上表面が標高を示します。原則として南側に横書きで「○等」、縦に「三角
点(古いものは點)」と彫られています。
現在は、GPSによる約6時間の連続観測(誤差数cm)、最新の電波測量VLBI(誤差数mm)が行われる電子
基準点が使われています。
□地図の作製と標高
これらの基点を結んで20mの等高線を引いて地図を作っていくわけですが、三角点だけでは数が足りないの
で次に測量されたのが標高点ですが、現在、地表に目印はあまり残っていません。従来、三角点やそれに次ぐ
標高点の高さが山の高さとされていましたが、三角点等が山頂より低い所にあったりして、実際の高さと違う場
合がありました。そこで、昭和63年から4年間、主な山1,003について再調査されました。その結果、最高点の岩
などを再測量、165の山の高さが見直され、その後は見直された数字が地図で採用されています。見直しの最
高は+39mの長崎県白嶽(519m)で、阿蘇山+25m、南アルプスの兎岳+18mなどがあります。
高い山、有名な山に一等三角点があるとは限りません。富士山は二等、2位の北岳は三等、3位の奥穂高岳
は標高点で、一番高い一等三角点は標高7位の南アルプスの赤石岳(3120m)です。測量の必要度、重要度で
決っています。
※出展は「日本の山岳標高一覧」、「基準点設置点数一覧表」(国土地理院)、 「一等三角点蒐索」(一等三角点
研究会・編)など。
|
|
|